美しさ
全員、美しいまま私の前から消え去ってくれ
と切に願う
綺麗な物語のままで
夢のようなままで
儚いままで消えてくれれば
永遠になるのに
その先も求めてしまうから
汚い黒い影が顔を出す
足元に絡みつき
腹の底を暴き
美しさは微塵もなくなる
でもそうならば
本当の美しさではないのだろうか
壊れそうな
不完全なものを美しいと思う
だけどそれは私にとっての美しさで
他人にはただの汚いものかもしれない
美しさの基準なんて
最終的には個人の中で完結してしまうものだ
本当の美しさってなんだ
今日は雨が降った
美しい、春の匂いがした
優しくて爽やかな匂い
絵画のような匂い
これは美しいと言っていいのだろうか